02:マニアによるマニアのためのマニアっぽい「かいじゅう座談会」

知られざるかいじゅうマニアの素顔に、「座談会」という形で迫る……。とうだんするのは、「え? 座談会? 別にいいよ」と、快く応じてくれた2人のかいじゅうマニア。このコーナーで、みなさんは目撃するだろう。彼らがどんなすうこうな目的を持ち、どんな情熱を秘めて「かいじゅうマニア」を名乗っているのかを――。

それぞれのお部屋公開!
 発覚した新事実!?

――まったく、2人ともボロボロになっちゃって。
……とにかく、いきなりポケモンバトルを始めないでくださいね。
さっさと次のコーナー行きましょう! マニアたちのお部屋訪問〜!

ハヤタ
「パチパチパチパチ」
リク

――まずは1枚目! これは……どちらのお部屋ですか?

ハヤタ
私の部屋だな。左側に並んでいるのは、私のフィギュア&ぬいぐるみコレクション! ラインナップはもちろん、すべて、かいじゅうっぽいポケモンばかりだ

――すごい数のコレクションですねぇ……えっと、それよりも右側の風景が気になるというか……。

ハヤタ
ああ、右側は私の工房だ。着ぐるみなどを作っているんだ
リク
え……ちょっと、着ぐるみ制作で、金色の糸を使っているってことは……

――え? 金色の糸? 縫い目なんてよく見えましたね……

ハヤタ
ソレは私のこだわりだな。この金色の糸を使った着ぐるみ、なかなか評判が良くてな。最初はただの趣味だったんだが、同好の士が、通販も始めようって言ってくれてな。今では“それなり”に収入になっているよ
リク
“それなり”ってレベルじゃないじゃないですか! あなたがあの、伝説の着ぐるみ職人だったなんて!

――え? いきなり敬語ですか?

リク
そうだよ! オマエ、失礼じゃないか!

――なんで、こっちにはいきなりオマエ呼ばわりなんですか!?

ハヤタ
まぁまぁ。その道を歩んでいない人にとっては、私はただの変わり者に過ぎないんだよ

――ぐっ……なんだか腹の立つコメントですね。にしても、オドロキの事実が判明し、意外性バッチリなお部屋でした。さて、今度はリクさんの部屋ですね。

リク
オレの癒やしの空間だ! じっくり見てくれ!
ハヤタ
えっと……ファンシー? 棚にあるフォトフレームのヤツ、キミが描いたイラストか? 何とも個性的でアーティスティックな……

――何とも、ピンクで統一されたコメントしづらいお部屋で……ぬいぐるみとかはヤドンだらけ?

リク
愛と優しさに包まれてる感じでしょ? ……どうして2人ともボ――っとしてるの? もちろん、どのヤドンもちゃんと定期的に手入れをしているし、みんな清潔でいいコばかりだけど?

――いやいや、そこじゃないです。ぬいぐるみがキレイか汚いかで驚いてません。

ハヤタ
ぬいぐるみのラインナップ、一応かいじゅうっぽいポケモンであるヤドンで統一されているが……男がピンク色まみれの部屋に住んでるってことのインパクトが強すぎるぞ。むしろ、部屋の主がかいじゅうマニアであることを忘れてしまう
リク
それは……。
一歩部屋を出れば、オレはかいじゅうマニアとして、過酷な世界を生きていかなければならないんだ。そう、理解し合える人の少ない、孤独な道だよね……。だからこそ、部屋では癒やしを求めるんだ。手持ちのポケモンは、まさに“かいじゅう”っぽいポケモンばかりだからね。せめて色くらい、ファンシーで愛にあふれたもので統一したかったんだ。そう、ヤドンの体と同じ、ピンク色系統にね!
……かいじゅうマニアとしての、悲しい業ってことかな
ハヤタ
おぉぉぉ! その覚悟! よくぞ言い切ったぁ!
まだ若いからとあなどっていたが、見直したぞ! たがいに進もうではないか! 我らだけの孤独な道を!!!!

――あぁ……2人の世界に入っちゃってますね。何なんですかね、孤独な道って。

マニアさん同士の交流について
聞いてみました。
が……残念な事実が判明しました。

――まぁ、どんな道を歩こうが、勝手だとは思いますが……。 そういえば、ほかにも“マニア”を名乗っている人たちがいますよね? 交流とかあるんですか?

ハヤタ
「そんなものはない」
リク

――まったく?

リク
まぁ、少しくらいは、話とかするけど……

――そうですか。こんちゅうマニアとか、話合いそうですよね。

ハヤタ
その根拠は? あいつらみたいに、年中森とかを歩いてむしタイプのポケモン探したりしてないぞ? 我々と話合いそうか?

――年中むしタイプのポケモン探してるって……着ぐるみ自作しちゃうかいじゅうマニアも、熱中する度合いとしては、あまり変わらないと思いますよ?

リク
ぜっっんぜん違いますーぅ! あいつらとは、こだわりのポイントまったく違いますーぅ!!

――なるほど、こだわりのポイントですか。何となく、理由がよくわかりました。 では、かせきマニアさんたちは、どうです? かせきの中には、過去の巨大生物の化石とかもありそうだし、こちらは話合うのでは?

ハヤタ
残念ながら、彼らも別枠だ。たとえ“かいじゅう”っぽいポケモンだろうが、ホネとか、カチカチに乾いてなきゃ許せんそうだ……

――ありゃりゃ。求める方向性が、似ているようで異なるんですね。 じゃあいっそ、方向性がかぶりそうにない、オカルトマニアさんたちは……。

ハヤタ
「あいつら、何だか怖い」
リク

――って、そんな何となく、な理由なんですか!?

ハヤタ
だって、なぁ……
リク
話してみたけど、いつもクスクス笑ってるし、反対の意見言うだけで呪われそうだし

――そんな、青ざめた顔で訴えられても……。 こちらが自己主張ばかり、ってのもマズいでしょうし、あちらが好みそうな話題を振るだけで、お話盛り上がりそうですけどね。オカルトな話題……幽霊の話とか振ってみるとか?

ハヤタ
「一応、やってみたんだよ!
でもうまくいかなかったんだよ!!」
リク
ハヤタ
「この前心霊写真が撮れたんですよ〜」って言ったら、
「あら、後ろの髪の長い、びしょ濡れの女性が写っちゃったのね」とか言うんだぞ!? あの晩、怖くてトイレ行けなかったぞ!

――あーあ、ハヤタさん、泣いちゃった……。 ほらほら、2人ともブルブル震えちゃって……。

リク
あ、ダメだ。思い出してきちゃった……そうだ、こんなときこそ、癒やしのポケモンぬいぐるみを……カバンの中に入れてたっけ?
ハヤタ
こんなときこそ、かいじゅうっぽいポケモンのパワーだ! 持ってきておいた、とっておきの除霊機能付き(?)着ぐるみを……(ゴソゴソゴソ)

――あー、完全にトラウマになってますね。いったい、どんなやり取りがされたのやら。 とりあえず、マニアの人たち同士での交流は、あまり行われていないようです。 続行不可能みたいだし、座談会はここでおしまいにします。 ずいぶん不思議な感性の人たちでしたが、みなさんも、かいじゅうマニア、目指してみます?

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